『アジャイルレトロスペクティブズ』を読んで振り返りのやり方を学ぶ
今まで漠然と「ふりかえり」をやってきたが、次の疑問が浮かんできた。
- ふりかえりとはどのようにすべきか
- 何を目的とするか
- どういった方法で行うのがよいのか
本書がこれらの疑問への回答のヒントになるのではないかと思い、内容を押さえる。
「アジャイルレトロスペクティブズ」と銘打っているが、要は「ふりかえり」の教科書である。
ふりかえりとは
ふりかえりは、以下の5つの内容で構成されるべきである。
- 場を設定する
- データを収集する
- アイデアを出す
- 何をすべきか決定する
- レトロスペクティブスを終了する
1. 場を設定する
まず、ふりかえりの始めに以下の点についての合意を取る。
- 目的
- 何にフォーカスするか、何に着目するか
- 所要時間
- 時間の使い方
また、チームの約束を決める・レビューする。(ファシリテートの文脈だと、「グランドルール」に該当する)
場を決定する時間を飛ばしたり、「節約」してはいけない。後々ふりかえり中に、口を開かない、集中できないなど問題が発生する。
場を設定しないことは高くつく。
これは、私も経験がある。ふりかえりの目的がはっきりしていないと、何をふりかえればよいかが分からなくなり、話がまとまらない。
また、いきなり本題から入っていっても周りの人のモードが切り替わっておらず、集中できていないことがあった。
まずは、場をあたためる、目的・ゴールを定めることが重要である。
2. データを収集する
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まずは、客観的なデータを収集することから始める。客観的なデータとは、以下のイベントやメトリクスなどである。
イベント
- ミーティング
- 何らかの決定
- チームメンバの変更
- マイルストーン
- お祝い事
- 新しい技術
など、チームの誰かに関係のあるすべてのイベントを指す。
メトリクス
- バーンダウンチャート
- ベロシティ(速度)
- 不具合の発生数
- 完了したストーリーの数
- リファクタリングされたコード量
- エフォートデータ(工数の算出元になるデータ)
次に、感情のデータを集める。感情のデータとは、怒り・悲しい・楽しいなど各個人の気持ちを表すものである。例えば、カラードットシールなどで、気持ちの浮き沈みを表すなどが挙げられる。
データ(客観的データ、感情データ)を集めることで、共通の理解を作ることができる。この共通理解がなければ、ふりかえりでメンバが集まってきても、個々の自分だけが知っているデータだけでものを考えることになってしまう。
共通理解ができることで、「チーム」として変更や試みにコミットできる。
3. アイデアを出す
チームに、以下のことを調査・検討してもらう。
- 成功へと繋がる状況、相互作用、パターン
- 不具合や欠陥はどうだったか、なぜ起きたか
- リスクと予期しないイベントや結果
問題が起きると人はすぐに解決策を求めるが、最初に思いつく策はだいたい間違っている。
このフェーズでやるべきことは、以下2点を「チーム」で一緒に考えること。
- どんな解決策があるか、さらなる可能性を調べること
- 問題の原因とその影響をみて、分析的に考えること
このフェーズでアイデアを出すことで、チームはより効果的な働き方に気付くことができる。その気づきこそが、レトロスペクティブス、ふりかえりの効果である。
4. 何をすべきか決定する
試みやアクションを計画するチームに、構成やガイダンスを提供すること。
計画を作ったら、担当者の割り振りを決めること。個人のコミットメントがないと、人々はチームのタスクだと思い、誰もやらなくなってしまう。
5. レトロスペクティブスを終了する
経験を文書化する方法を決めて、フォローアップを計画すること。
- 場を設定する
- データを収集する
- アイデアを出す
- 何をすべきか決定する
- レトロスペクティブスを終了する
を使うと、チームに以下の考える癖が身に付く。
- 異なる視点を理解する
- 自然な順番で考える
- 現在の仕事のやり方やプラクティスに包括的な視点を持つ
- 予定調和で終わらせず、必要なところでは議論を許容する
- 具体的なアクションや試みを次のイテレーションで使えるようにしてふりかえりを終える
参考
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