「逆説のキャリア思考 - スタートアップ思考をキャリアに活かす」まとめ
デブサミ2017で公演された「逆説のキャリア思考 - スタートアップ思考をキャリアに活かす」が気になったので、読みながらポイントをまとめました。
自分同様、今後のキャリアに不安を抱える人、どんなキャリアを目指していけば良いか迷われている方は、一度スライドに目を通してみると気づきがあるはずです。
講演スライド『逆説のキャリア思考』 — 正しく孤独を楽しめ – Medium
テーマ
- 「スタートアップ思考」を自分のキャリアに応用して"Antifragile"なキャリアを作る
※Antifragileとは、「抗脆弱性」
キャリアに関する大きな流れ
- グローバルにおける「機械化」
- ローカル(日本)における「ジョブ化」
グローバルにおける「機械化」の流れ
- 第一次機械化をPhysical/物理的な力(人間の筋力)とすると、第二次機械化はCognitive/認知力(認知力)
- 「定形の作業がAIやロボットに置き換わる」ことで、低スキル低収入と、高スキル高収入の二極化(Polarization)が進む
- 高スキル高収入の職は増えるがそのスキルを持てる人は、教育費用や能力の問題で限定的になる
- これから増える職の多くは「これまでになかった高度な仕事」
e.g.
- モバイルアプリデザイナー
- 深層学習のエンジニア
- ロボットの気持ちがわかる共同作業者
- 合成生物学エンジニア
- Rasberry Piエンジニア
10年後にはさらに新しい職業が生まれて、そこに就く。そして、どんどんと求められるスキルも高度化していく。生涯学習の重要性が増す。
ローカル(日本)における「ジョブ化」
日本は「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」になっていく。
- メンバーシップ型とは、人に仕事がつく(「入社」する)
- ジョブ型とは、仕事に人がつく(「就職」する)
ジョブ型社会とメンバーシップ型社会(濱口 桂一郎『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』) - キャリア、教育、ビジネス、テクノロジー
メンバーシップ型の雇用においては、企業側が雇用者を解雇しないという前提で教育やOJTなど技術習得、キャリア形成の機会を与えてくれます。 一方、ジョブ型は、キャリアデザインの責任は会社ではなく個人である点です。
よって、今後は個人が責任を持って自分のキャリアを考える必要がある。この点は、強く同感します。
トレンド
- 人生の寿命 => 長
- 企業の寿命 => 短
- 技術の寿命 => 短
- キャリアデザインは会社から個人の責任に
- 日本にはシニオリティルールがない
- 女性や介護退職者を考えるとジョブ型化は不可避
すべての人は投資家にならざるを得ない。君が仕事を選ぶとしたら、それが数十年後に価値のあるものになると信じて選ぶはずだ Peter Theiel, Zero to One
我々は全員 「時間」の投資家 だから。
キャリアと偶然性(運)
ハプンズスタンス理論
- キャリアデザイン
- クランボルツの計画的偶発性(キャリアの8割は偶然)
起業家はリスクをそれほど取らない
- 起業家はリスクのポートフォリオ管理をする
- 起業家はタイミングを待つ
- 起業家はリスクを相対的に評価する
- ある分野で危険な行動をとるのであれば、別の分野では慎重な行動をして適切なリスク管理を行う。
- 一番乗りするのではなく、タイミングを待つ。
- 普通の人は失うリスクを恐れ、起業家はチャンスを逃すリスクを恐れる。
バーベル戦略
バーベル戦略では「超保守的」と「超積極的」な投資を行う。中くらいのリスクは取らない。
- 85-90%超保守的な投資
- 15-10%超積極的な投資
キャリアに読み替えると、以下の通り。
- 85-90%超保守的な投資(企業で安定的な給料を得るために時間を投資)
- 15-10%超積極的な時間投資(アップサイドの予測不能な投機的なリターンに時間を投資)
予測ができないなら予測ができないことを利用すればいい Nassim Nicholas Taleb
- リスクの高い投機的なアイデアを再度プロジェクトで始める
- ポイントは「そこそこ稼げる副業」ではなく、アップサイドの上限が予測できないものを選ぶ
- Antifragileという考え方 予測可能な損失ないで非対称的なリターンを狙う
予測可能な損失の範囲内でアップサイドが見えない例
e.g.
- OSSへの貢献
- コミュニティへの貢献
- 勉強会での発表
- NPO団体でのプロボノ
- サイドプロジェクト
- etc….
量(試行回数)が質を生む
キャリアを最適化問題の一つとして捉えてみる
アップサイドが見えないような凸状のスタートアップ的なアイデアをどうやったら得られるのか
- 不合理な方が合理的
- 小さな市場を選ぶ
- 難しい課題の方が簡単
急成長するアイデアは、「悪いように見えて実は良いアイデア」
- みんなが見ても良いアイデアや合理的に導けるアイデアはみんなも狙うので急成長しづらい
i.e. 他人から見ると狂ったアイデアを探す ただし、悪く見えるアイデアのほとんどは単に悪いだけ。ここが難しい。
小さな市場を選ぶ
- 大きく見える市場はベテランエンジニア勢が狙うから
- 弱小キャリアの我々は「今はまだ小さいけれど急成長しそうな市場」を狙う
どうやって急成長しそうな市場を見つけるのか
市場が今後急成長するかを知るには自分だけの「秘密」に気づくことが大事。
スタートアップのアイデアに関する適切な動詞は「考え出す(think up)」ではなく「気づく(notice)」である Paul Graham
今後急成長するジョブに有機的に気づく
- セールスエンジニア
- カスタマーサクセスマネージャー
- VR体験マネージャー
- 新規事業のマネージャー
- スタートアップの経営者
自分の体験の中で「今後必要になる」と思われそうな仕事はなんだろうか。急激な市場の伸びに早く気づけるのは「ギーク」と若者です。
賢い人達が週末にやっていることが10年後、皆が平日にやっていることになる Chris Dixon
困難だと思われている課題の方が支援してくれる人が多かったり、手づかずだったりして、結果的にスタートアップが簡単になるという逆説がある。
- 採用や協力者集めに有利、社員のモチベーションも高まる
- 誰も挑戦しない苦行なので競争がない
スタートアップ的な急成長するキャリアを狙う場合、ヒントになる質問
- 10年後に価値ある仕事はなんだろうか
- 未だ築かれていない、価値ある仕事はなんだろうか
- 賛成する人がほとんどいない、大切な仕事はなんだろうか
キャリアで独自の価値を生み、独占するメリット
- 独自の価値を独自のやり方で出せれば、身近い時間で価値を出せて競争から抜け出せる
- 早く帰って自分の時間(利益)を作ることができる
- さらに独占するための勉強の時間を持てる
独占によって得た利益(時間)の再投資が可能になる
何よりの逆張りは、大勢の意見に反対することではなく、自分の頭で考えることだ。 Peter Thiel, Zero to One
まとめ
1. 日本の雇用環境の変化
2. Antifragileな運のつかみ方
3. 不合理なキャリアのアイデア
4. 独占のためのキャリアの戦略
参考
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