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【イベントレポート】Helpfeel Tech Conf 2024 - アシスタントAIの形を模索する

更新日:2024.08.26 作成日:2024.08.26

HelpfeelのTシャツとノベルティ

イベントレポート

2024年8月25日(日曜日)、 Scrapbox Drinkup #11 以来、久しぶりにHelpfeel社(旧Nota社)のオフラインイベント「 Helpfeel Tech Conf 2024 」に参加した。オンラインとは違って、登壇者の顔を見て、会場の雰囲気を感じながらセッションを聴けるのは良い。おそらくだが、登壇者も聴衆の反応を見ながら話せるのでノってくるだろうし、それに呼応して、活き活きと楽しそうに話をされるのはこちらも楽しくなる。登壇者の楽しそうな姿からエネルギーをもらえた。

今回のHelpfeel Tech Conf 2024では、個人的には生成AIの使い方(どう人をアシストするか)で参考になる点が多かった。いままで「生成AIで文章や画像を生成できます」と言われたところで、いまいちピンときていなかった。というのも、生成AIだけで解決しようとしていたからだと思う。取り組んでいる課題や顧客の要望に答えるためには、生成AIだけで解決するのではなく、生成AIと既存の手法を適切に組み合わせることが肝要だ。そして、生成AIが主になるのではなく、人の能力を拡張するアシスタントとしてUIに溶け込こみ、なめらかに振る舞うのが望ましいと感じた。どのような点からそう感じたのかをCosense、Helpfeel、Gyazoの3つのプロダクトのセッションから振り返る。

Cosense「文芸的データベース」

まずは、Cosense「文芸的データベース」。文芸的データベースとは「文書の作成とそのデータベース化を同時に行なう手法で、文書とデータベースのフィールドをひとつの画面に混在させながら追加したり修正したりして同時に構築していくことにより、完全に整合性のとれた文書とデータベースを構築しようというもの」だそうだ。従来、データベースのような定型フォーマットを作るには、人が機械のために頑張って定型化するしかなかった。一方、文芸的データベースでは、人が自由にドキュメントを書き、機械(生成AI)が正規化されたテーブルを作る。人は型にはめられることなく自由に創造し、機械(生成AI)にアシストしてもらう。「型は絶対に書きたくないでござる」というRubyの思想にも通ずるような気がした。

セッションの中で「LLM可読ではないドキュメントを人に読ませるのは失礼」というフレーズが印象に残った。この文芸的データベースは、生成AIが人の書いたドキュメントを読みテーブルを作成しているのだが、ドキュメントが不明瞭だと上手く項目を抽出できない。そもそも機械(生成AI)に読めないものは、人が読んでもわかりづらいものになっているので、反省して明瞭な文章を書きましょうというもの。抜け漏れなく、わかりやすい文章を書けるように意識したい。

Helpfeel「意図予測検索」

次に、Helpfeel「意図予測検索」。FAQの運用課題に、サービス提供元が用意した回答記事とユーザーが質問する言葉が一致していないため、ユーザーが意図している結果を得られないというものがある。これに対するHelpfeelでの解決策のひとつに、Helpfeel記法と呼ばれる正規表現ライクな特殊な索引を作ることが挙げられる。ユーザーが使う言葉の網羅はできないが、正規表現を使って検索語彙を拡張し、効率的に記事に誘導できるという。ユーザーの望むべき結果を山頂に例えるならば、この手法は山頂に向かう登山道をたくさん整備して登りやすくすると話されていた。このHelpfeel記法は人の手で定義する必要があるが、その部分に生成AIを活用しており、回答記事内容から適切なHelpfeel記法のたたき台を作成していると紹介があった。また、「優れたユーザーインターフェースとちょうどアルゴリズムの組み合わせ」という話のなかで、早いキーワード検索と精度が高いベクトル検索を組み合わせて、ユーザー体験を良くしているのが印象的であった。検索窓に質問を入力するやいなや、即時レスポンスがあり、自分が本当に知りたかったことが浮んでくる体験は素晴しい。

Gyazo「Assistant for Gyazo」

最後に、Gyazo「Assistant for Gyazo」。画像からマニュアルの叩きを作成する、赤枠でアテンションコントロールして生成AIに指示する、コレクション内の画像から回答を得る、ある特定の画像から生成AIにプロンプトを書いてもらうメタプロンプト、ビジュアライゼーションされた図(凡例、数値を含む)からテキストと数値を抽出するデ・ビジュアライゼーションなど、Gyazoを起点とした「Assistant for Gyazo」ができるタスク事例の紹介があった。Gyazoはスクリーンショットを撮るだけでなくメタデータも管理できるため、そのメタデータも活用しながら、生成AIと共創していく。

生成AIがテキスト以外に図表を解釈できるようになったことで、何ができるか。どこに、どうやって生成AIを使っていくべきか。そもそも解決したい課題はなにか。自分自身に置きかえて考えてみたい。

Human Empowerment Technology テクノロジーの発明により、人の可能性を拡張する

Helpfeel社のVisionは「Human Empowerment Technology テクノロジーの発明により、人の可能性を拡張する」であると紹介があった。

CosenseとHelpfeelでは文書を拡張する。Gyazoではいわば画像・動画を拡張する。それぞれを組み合わせて使うことで人の可能性を拡張していく。

私は、今回の聴講したセッションから上記のようなメッセージを受けとった。

Helpfeel社のプロダクトは『「便利なもの」だけでなく「楽しいもの」を作る。触っていて楽しいを目指している』という話があった。Helpfeelを導入した「カラオケ パセラ」のFAQを触っているうちに、楽しくなっちゃって、どんどんパセラの業務に詳しくなったという。

Cosenseも書いて、整理するだけで楽しい。青リンクでつながるとアハ体験がある。Helpfeel社のプロダクトに魅力を感じているひとりのファンとして引き続き応援したい。登壇者および運営の方々、参加者のみなさま、ありがとうございました。

参考セッション

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