朝道に黄帽の波と笑い声寄せては返し一人佇む

朝の通学路。黄色の帽子を被る小学生たちが朝から元気に走り回っている。足音と笑い声をあげて次から次へと、まるで波のようにやってくる。まだまだ幼く、希望の光が詰まった玉のような生命力溢れる一行が過ぎ去ったあと、唯一オトナの自分だけが取り残される。それは、壊れて針が止まった時計であり、あるときの時空から逃れられずに、一人佇んでいるかのよう。観測者でしか世界に関われない寂しさ。