「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んで
実は、だいぶ前に買って読んでいた本の1つ。そのときに上手くまとめてなかったので内容をすっかり忘れてしまっていた。なので、今回はメモを残しておく。
あらすじ
話の舞台は、高校の野球部。野球部のマネージャーであるみなみが、ドラッカーの『マネジメント』を読み、バラバラだった野球部をマネジメントしていく。目標は、甲子園出場。
この本を読むにあたって、自分は2つの目線から読み進めていた。
2つの目線
1つ目は、同じ高校野球を経験した上での目線。
自分は、小中高と野球部に所属していた。特に高校時代の思い出は多く、本の中に出てくる野球部に自分の昔の姿を重ねつつ、いろいろと思い出しながら読んでいた。
2つ目は、組織運営にあたる上での目線。
大学時代はテニスサークルに所属していた。
大学3年のときには、14人の幹部という組織の1人として80名ほどの会員をまとめる役割も経験した。
組織で動くにあたり、この本に紹介される「マネジメント」の言葉は、参考になると思いながら読み進めていた。「マネジメント」を大学3年生のときに読んでいたら、何を変えられたんだろう?自分にできることはなんだっただろうと。この2つの目線から読んでいたので、とっつきやすく、また紹介される言葉も非常に胸に響くものがあった。
気づき-サークルが自然とマネジメントを行っていることを実感
こう考えてみると、サークルの仕組みというのは上手くできているもんで、自然とマネジメントを行っていたんだなってことに気付かされた。
所属していたサークルでは、幹部交代選挙というものがあって、それを機に幹部が交代する。その選挙では、今後のサークル方針を宣言することになっている。その選挙に向けてさまざまな話し合いをする。そんな背景もあり、次の言葉が胸に響いた。
顧客からスタートする
あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向付け、努力を実現するためには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。(22貢)
企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってでなく、顧客や財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。しかがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。(23貢)
まず幹部になる前にすぐに取りかかったのは、方針を考える上での、サークルのありかた、目指すべきところを定めるために徹底的に話し合った。
2年生の意見、上の学年の先輩の意見。自分たち幹部の意見。まさしく、「われわれの事業は何か。何であるべきか」という部分である。
自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないは思われるかもしれない。鉄鋼会社は鉄をつくり、鉄道会社は貨物と乗客を運び、保険会社は火災の危険を引き受け、銀行は金を貸す。しかし実際には、「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんどの場合、答えることが難しい問題である。わかりきった答えが正しいことはほんどない(23貢)
テニスサークルなんだからテニスをすればいいんじゃないか。確かにそれほどわかりやすい答えはない。でも、問題はそんなに簡単じゃなかった。先輩方が積み上げてきたサークルの歴史。学年による考え方の違い。幹部一人一人の考え方の違い。
自分たちありきで考えたときに、ダメだしを食らったのは、顧客(サークルの会員)からスタートしていなかったからだと改めて思った。自分たちが勝手に「こうしたい」と思ったところで、顧客は満足しない。結局のところそういうことだったんだなぁと。
なんでその方針にしたのか?会員が望んでいることなのか?意見を聞いてみたのか?先輩方の質問に答えられなかった。そこらへんに幹部交代選挙の意義があるんじゃないかなと思う。深く考える機会として。たぶん、むやみやたらに質問して、選挙を延ばすのは意味がない。ましてや、選挙を乗り切るだけの話し合いも意味がない。あの日までに、やってきたこと考えたことが多分重要なんじゃないかな。って思います。
人を生かす
もう1つ強く響いた言葉は、次の言葉である。
(前略)組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。
「人は最大の資産である。」(79貢)
ここもやっぱり当てはまる。それぞれが、自分の得意分野を発揮することで、結果として非常に大きな組織の力が生まれた。人の強みを生かす。1年前にもなんだか同じことを考えていた。
組織の力が成り立つには、「一人がたったひとつのことでいいから組織に貢献すること」だと思う。他の人では、やることのできない、たった一つの分野があれば、それは組織として武器になる。
なんだかんだある程度自発的に、(なかば経験値とかいうなの強制もあったが)仕事は分担されていた気がする。そして、それぞれの人に最終的な決定権もあった。トップマネジメントがチームとして機能するための条件にも次のことが書いてあった。
1. トップマネジメントのメンバーは、それぞれの担当分野において最終的な決定権を持たなければならない。 1. トップマネジメントのメンバーは、自らの担当以外の分野について意思決定を行ってはならない。 1. トップマネジメントのメンバーは、仲良くする必要はない。尊敬し合う必要もない。ただし、攻撃し合ってはならない。 1. トップマネジメントは委員会ではない。チームである。チームにはキャプテンがいる。キャプテンは、ボスではなくリーダーである。
まとめ
なにもマネジメントというと、難しいことをやることかと思った。でも、よくよく考えてみると、今までもマネジメント自体は行われていた。そのことに気付けた。ただ、問題は、いつのときも自分が「マネージャー」ではなかった気がする。人をまとめるっていう力もないし、マネージャーの器でもないのかなと思ってきた。でも、マネジメントには、こう書いてある。
人を管理する能力、議長役や面接の能力を学ぶことはできる。管理体制、昇進制度、報酬制度を通じて人材開発に有効な方策を講ずることもできる。だがそれだけでは十分ではない。根本的な資質が必要である。真摯さである。(130貢)
マネージャーの資質とは、真摯さである。・・・真摯さとは?。考えてみたい。 ということで、野球に興味がある人はもちろんのこと、組織に携わる人には、必見の本なんじゃないでしょうか。
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